図書館と市民をつなぐ会・相模原 2019年5月15日第22号 2019年度の総会が開催 2019年4月20日(土)相模原市立総合学習センターにて総会が開催されました。来賓に相模原市立図書館郷司尚子担当課長、相模原市書店協同組合中村宣勝理事長、をお迎えしました。 はじめに代表の山本より今年は新しい図書館基本計画が策定されることもあり、当会からも積極的に関わってゆきたい。また、発足から6月で丸10年。「図書館ひろば」をはじめ当会を運営するにあたり図書館や書店組合の協力に感謝したい、と開会のあいさつがありました。 続いて、来賓からの挨拶では、郷司担当課長より、「図書館ひろば」での古本市の寄付金についての感謝と、今、次期図書館基本計画を作成中であり、9月に答申を受けて、年度末に策定予定している旨のお話がありました。 中村理事長からは、図書館は生涯学習の場でもあることから、資料の蓄積や将来のための施策を期待したい、という言葉をいただきました。 総会議事では最初に2018年度の活動・決算報告がありました。2019年度の活動予定案では、例年の活動に加えて「読書バリアフリーの学習会」「淵野辺駅南口周辺のまちづくり市民検討会の参加」「図書館にかかわる他の市民団体等との交流や連携」が挙げられました。さらに役員の選出を行い、つつがなく終了しました。 後半は、参加メンバーで親睦をはかるため、自己紹介や最近の活動報告などを行いました。今年度は相模女子大学宮原志津子先生をお招きして記念講演「図書館サービスの歴史を踏まえて〜これまで/これからの図書館を考える」も行われました。 新しい中央図書館の設置に向けて(提案) 今期の図書館協議会で、次期図書館基本計画について議論され、その中で中央図書館のあり方についても検討されると聞きました。そこで、政令市の中央図書館として内容の充実したものになるように、特に配慮してほしい点に絞って提案することになりました。4月初めに、岡本図書館長にお会いして提案書を託しましたので、その内容についてご紹介します。(全文はつなぐ会のホームページをご覧ください。http://toshokan.org) 1.調査研究並びに情報発信機能について (1)資料と職員体制の整備 (2)ICT環境の整備 (3)積極的な情報発信 2.学校図書館支援センターについて (1)学校図書館支援センターの設置 (2)専門職員の配置 (3)研修支援 3.障害者読書バリアフリーセンター設置と環境整備について (1)障害者読書バリアフリーセンターの設置 @視覚障害、聴覚障害、肢体不自由などの身体障害(児)者、ディスレクシアなど視覚による文字認識に何らかのバリアがある方、高齢や病気、遠方等で来館が難しい方、ICT機器の操作に支援が必要な方等、多様な障害当事者がワンストップの図書館サービスが受けられるよう、中央図書館内に障害者読書バリアフリーセンターを設置していただきたい。 A 障害者読書バリアフリーセンターを含む新しい中央図書館は、交通アクセスの良い場所に設置を望みます。 B市立視覚障害者情報センターと市立図書館とで一体運営ができるよう望みます。 C障害者支援団体等の活動スペースも必要です。 Dより良い運営のために、「障害者読書バリアフリーセンター運営協議会(仮称)」の設置を提案します。 (2)専門・専任職員の配置 (3)多種多様な媒体による資料の整備 (4)対面朗読室の設置とユニバーサルデザイン化 4.読み聞かせボランティア等支援体制について (1)ボランティアの養成、技能向上とネットワークづくり計画 (2)「読み聞かせボランティアセンター」の役割 5.図書館関係団体、ボランティア等の活動拠点の整備 図書館で活動している団体やボランティア等が相互に交流できるよう支援し、活動の拠点となる施設を整備していただきたい。 「読書バリアフリー法」学習会のお知らせ 日時:2019年6月26日(水)13:00〜16:00 会場:相模原市立図書館 中集会室(予定)    (JR横浜線「淵野辺駅」南口徒歩5分) 「読書バリアフリー法」について、専修大学 野口武悟先生をお招きして学習します。 総会記念講演「図書館サービスの歴史を踏まえて 〜これまで/これからの図書館を考える」 相模女子大学宮原志津子先生 今月で時代が変わるということで、今までの平成時代も含めた図書館サービスから令和へと続くこれからの時代の図書館サービスを歴史を踏まえて考えていこうと思います。 図書館サービスを5期にわけて、それぞれの特色を話していきます。 1期は終戦後の図書館です。CIE図書館が各地に開かれるところから日本の図書館は始まっていきます。CIE図書館はアメリカのプロパガンダ図書館で、使っている人は正装というのが特徴的です。世の知識人の方が多く来ていたわけです。 1950年に図書館法が制定され、現在のような公共図書館が広がっていくのは1960〜70年代です。それまでの図書館は開館時間が短く、資料は古く黴臭かったり、娯楽的要素が一切なく、学生にとっては都合のよい学習部屋でしたが、資料利用はされていませんでした。日野市はそれを逆転して、図書館は場所(机)を貸すのではなく、本を貸すところだということをアピールしました。日野市の成功は三多摩を中心に全国的に広がりました。 そして、1980〜90年代爆発的な展開を見せます。1980年は生涯学習の概念が大きく広がります。経済も好調ということから町田市の図書館のような大規模な館が話題になりました。図書館が駅近くの複合施設に入り、市民が行きやすいということが注目されます。日本人だけでなく外国の人への多文化サービスが注目されたのもこの時代です。利用案内もその地域に多く住む外国人に合わせた言語で書かれたものが用意されました。また障害者サービス、例えば対面朗読、音訳など様々な サービスが行われるようになりました。それにともなって、ボランティアの活動も広がります。 1990年からの図書館は地域の情報拠点や課題解決という考え方が主流になってきます。「ビジネス支援」「町おこしの支援」「医療情報支援」のようなサービスを展開し始めます。図書館として貸し出しはサービスの1つですが、レファレンスも図書館の主軸のサービスです。「ビジネス支援サービス」というように主題をはっきりさせると、利用者が相談しやすくなります。資料も本だけでなく関係各所のパンフレットなどを取り揃え、色々な機関への橋渡しができるようにしました。 2010年以降、図書館は居場所、サードプレイスという考え方が出てきます。2015年夏、鎌倉市図書館の「逃げ場所に図書館を思い出して」というツイートが話題になりました。カフェや居酒屋のようなお気に入りの場所としての図書館という新たなイメージが浮かび上がりました。 今話題となっている図書館の特色として、@地域のニーズを取り込みコンセプトが明確である、A資源を集中的に選択していく、B資料利用ではなく空間づくりが中心、C市民が図書館活動に色々な形で関わっている、という4点があがります。いずれも図書館は敷居が低く開放的な居場所というメッセージを出しています。これからは、市民にとって、どういう図書館利用が可能なのかを考えてもらう必要がありそうです。そのためには図書館のコンセプトが明確になっていないと伝わりづらいでしょう。こういったことを踏まえながら、相模原市の新しい図書館を作っていただけたらと思います。 次世代に引き継ぐ 淵野辺駅南口周辺のまちづくり 市民検討会に参加して その1 1月の運営委員会で「つなぐ会から誰か市民委員として参加する必要がある」という状況の中、2月1日締め切りギリギリで、公共施設ワーキンググループ(他には、まちづくり、公園)に応募しました。募集要項に「委員になった時、大野北地区の住民や市民にとって、魅力あるまちづくりを意識し、議論するとともに、本事業の取り組みを周知する、という目的がある」ということを知り、自分に何ができるのか?考え込んでしまいました。 第1回は、3月2日(土)、市立図書館にて、委嘱式(委員の任期は1年間)の後、有識者(日本大学・中央大学・青山学院大学・東海大学・相模女子大学の先生方)、協議会委員の紹介や、これまでの経過説明がありました。 参加者は、自治会や各施設関係者以外に、未来の相模原を支える大学生(青山学院・麻布・桜美林)が参加していました。最初から、3つのワーキンググループに分かれて、活動するのかと思いきや、3グループをシャッフルした形で、グルーピングされ、自己紹介をしつつ、淵野辺のお気に入リポイントを発表するというワークショップ形式で、始まりました。最後に、市民検討会の今後の進め方と運営のルールについて注意(SNSの使い方や他人のプライバシ−侵害について等)がありました。 第2回は、3月30日(土)、8時30分に市立図書館に集合して、「まち歩き」をしました。 市立図書館、鹿沼公園、大野北公民館、まちづくりセンター、さがみはら国際交流ラウンジ、あさひ児童館、自転車駐車場、青少年学習センターを、バスで2時間20分という超駆け足で回りました。その後、プロミティ淵野辺の会議室で、それぞれの施設について気がついたことを、またワークショップ形式で発表しあい、それに対して、有識者の方から、講評がありました。 休みの日にもかかわらず、毎回たくさんの市職員(公園課・都市計画課・生涯学習課、図書館の方たちも)が参加しているのには、本当に驚きです。それだけ大事なプロジェクトなのだと思いますが、2ヶ月に1回の開催予定(1年間だと6回?)ということで、こんなにゆっくりで、具体的な姿の検討までできるのか、また、市がどれだけのものをこの検討委員会に考えさせてくれるのか?まだ、先が見えず、心配性の私は、ハラハラですが・・・・。 次回は、6月1日(土)9:30〜「各施設の運営面や、利用状況について」です。 (矢部) 編集後記 総会の記念講演はとても興味深いお話でした。紙面の関係上、すべて載せられないのが残念です。近々には読書バリアフリー法の学習会が開かれます。報告は23号に載せるのでお楽しみに。(Y.N.) 図書館と市民をつなぐ会・相模原 会員募集中! 一緒に活動していただける正会員を募集しています。 また、賛助会員として協力していただける方も募集しています。 年会費  正会員 1000円(学生500円)        賛助会員 1口 2000円